
Blurred City Lights
Utopia
Blurred City Lights
Utopia
- release date /2025-02-07
- country /Japan
- gerne /Alternative Rock, Ambient, Dream Pop, Post-Rock, Shoegaze
名古屋を拠点に活動するシューゲイズ・バンド、Blurred City Lights(BCL)の2ndアルバム。
Blurred City Lightsは2022年に結成。当初は5人編成だったが、同年8月に2名が脱退し、以降はトリオ編成で活動している。現在のメンバーは神谷なな星(Vo/Ba/Key)、恵(Gt)、大橋琉馬(Dr)の3名。
2024年にリリースされた1stアルバム『天使のいない街で』は、儚く美しいメロディとキャッチーなポップセンスが調和したサウンド、そして起伏に富んだ物語性のある構成で高い評価を獲得。私も非常に感銘を受け、2024年のベストに選出している。それから約1年となる本作は、『Utopia』と『Dystopia』という対をなす二部構成という新たな試みがなされている。これらはサブスクでは独立した作品として配信されているが、その本質は2つで1つだ。光と影、希望と諦念が織りなす壮大なコンセプト・アルバムとして読み解くことができる。本サイトの仕様上、ページを分けてレビューすることを先にお断りしておく。
光のUtopia、希望あふれる物語
『Utopia』は、アルバムの「光」の側面を司っている。開幕を飾るインストゥルメンタル#1 “渦”から、続く#2 “swirl of lights”で煌めきをまとった轟音ギターが一気に放たれ、文字通りリスナーを光の渦の中へと叩き込む。それはまるで讃美歌を全身で浴びるような神々しい体験だ。近年では女性ボーカルを擁するインディー/オルタナ系のバンドが、ライトなリスナーからシューゲイズと認知されるケースも多いが、随所に炸裂する重厚なウォール・オブ・サウンドは、彼らが本格的なシューゲイズ・バンドであることを証明している。
#3 “祝祭”は、さらに光の側面が強く出たナンバーで、ワルツ調の牧歌的なメロディが、光あふれる壮麗な情景を運んでくる。太陽の光、風の匂い、木々のざわめきがそのまま音になったようで、温かな幸福感に満たされる。終盤にバッハの『主よ人の望みの喜びよ』のフレーズを引用するアレンジも秀逸だ。
#4 “星凪に願う”は、神谷氏の瑞々しいポップセンスが色濃く表れた名曲。清涼感のある歌声と切ないメロディは、羊文学やHomecomingsを好むリスナーの心を瞬時に掴むだろう。
ピアノの小曲#5 “utopiaflorist”が物語の余白を補い、そして#6 “Planet”で空へ解き放たれた祈りが未来へと羽ばたいていき、物語は希望に満ちた結末へと到達する。
しかし、この世界は、続く『Dystopia』を聴くことで新たな視点をもたらすことになる。続きは後編へ──
