Spiine

Tetraptych

Spiine

Tetraptych

  • release date /
    2025-03-27
  • country /
    Australia
  • gerne /
    Blackened Doom, Depressive Black Metal, Doom Metal, Doomgaze, Funeral Doom, Post-Rock
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

オーストラリアのブラッケンド・ドゥームメタル・デュオSpiineのデビューアルバム。

Spiine〜Virgin Black×Ne Obliviscarisの鬼才によるコラボ〜

Virgin BlackのギタリストSesca Scaarba(Samantha Escarbe)と、元Ne ObliviscarisのボーカリストXen(Marc Campbell)によって結成。バンド名Spiineは「背骨」を意味し、2人の背骨を結合させることで精神を強化し、彼らの音楽が描く「暗く惨めな絶望」を世界に伝える決意を表している。「i」が並ぶのは、2人が精神を預け合う象徴である。※曲名の「i」もすべて2つになっている点に注目

本作はドラムにWaltteri Väyrynen(Opeth、元Paradise Lost)、ベースにLena Abé(My Dying Bride)を迎え、暗黒ドゥーム界屈指の布陣で制作された。

Virgin Blackはオーケストラや聖歌隊をフィーチャーした荘厳なサウンドで知られていたが、Spiineはその儀式的なムードを受け継ぎつつ装飾を抑え、ギターを主体としたフューネラルドゥームへとシフト。Xenの表現豊かなスクリームとグロウルは、悲しみや痛み、絶望といった負の感情を容赦なく描き出し、冷酷で無慈悲な暗黒世界へと踏み込んでいる。

Spiine『Tetraptych』各曲レビュー

#1 “Myroblysiia”

フューネラルドゥーム風のロングトーンの合間に陰鬱なトレモロリフが顔を出し、ドゥームゲイズやポストロック、DSBMを思わせるアプローチを展開。イントロの哀しげなピアノとともに鳴り響くギターの音色は、まるでMONOが葬送曲を奏でているかのよう。ヘヴィなロングトーンが鳴り始めると、オーケストラの厳かな旋律とXenのドス黒い咆哮が重なり、リスナーを闇の深淵へと引きずり込む。容赦なき暗黒美に思わず戦慄すら覚える一曲。

#2 “Glaciial”

重苦しい圧殺ギターにXenのグロウルが交錯する暗鬱ドゥーム。後半に重厚なストリングスがひと時の光をもたらすが、それも束の間。SescaのギターとXenの咆哮が全てを黒く塗りつぶしていく。終盤の哀愁味あふれるギターワークは本作のハイライトの1つ。

#3 “Oubliiette”

トレモロリフが効果的に用いられ、フューネラルドゥームとDSBMの混血と呼べるサウンドを展開。オーケストラの重層的なテクスチャーと相まって、本作中で最も「Gaze」の要素を感じさせる一曲。

#4 “Wriithe”

亡者の呻きのような声で幕を開け、陰鬱で重苦しいリフが闇を這いずり回る。幽玄で静謐なブレイクを挟んで、わずかに光が差し込むも、すぐにブラックメタル風の爆走へと切り替わる。最後には再び葬送曲のような悲壮なメロディが舞い戻り、亡者たちの魂を奈落へと還していく。

「Tetraptych」=「4つのパネルから成る連作絵画」というタイトルが示す通り、全4曲で約1時間という濃密な構成も、暗黒音楽好きには格別のご褒美だ。

NorttやEvokenといった重鎮のリリースで沸く2025年のフューネラルドゥーム界に新たな傑作が誕生した。本作はフューネラルドゥームでありながら比較的メロディアスで聴きやすいため(当社比)、FVNERALSやPresence of Soulといった暗黒ドゥームゲイズ好きにもぜひチェックしてほしい。