
fromjoy
Ataraxia 19.13.8.1.19
fromjoy
Ataraxia 19.13.8.1.19
- release date /2025-06-13
- country /US
- gerne /Ambient, Alternative Metal, Electronica, Industrial, Metalcore, Nu Gaze, Shoegaze
テキサス州ヒューストンのメタルコア・バンドfromjoyの3rd EP。
デビュー作『It Lingers』から描かれてきたIcarus(イカロス)の物語の終幕を担う作品であり、メタルコアを軸にブレイクビーツ〜ドラムンベース、ハイパーポップ、ヴェイパーウェイヴを融合した独自のスタイルをさらに拡張しています。
2024年8月にメインボーカリストDenver Dowlingが脱退し、ギタリスト兼バックボーカリストKellan Kingがボーカル専任にスイッチ。これを契機にメタルコアとエレクトロニックの融合を維持しつつ、ギタリスト兼クリーンボーカル担当のGiovanni Alaniの歌唱パートを大幅に増やし、シューゲイズの要素も取り込むことで、よりメロディアスでアトモスフェリックなサウンドへ進化を遂げました。
注目曲ピックアップ
#1 “Etana”
前作ラスト“Icarus”をサンプリングし、スロウ&リバーブ化したイントロダクション。物語の連続性を印象付ける一曲。
#2 “Monochrome”
エレクトロ、ニューエイジ〜トリップホップ風の幻想的なイントロから、Deftonesを彷彿とさせるメランコリックなヘヴィシューゲイズへシフト。後半は浮遊感のあるサウンドから一転して、ブレイクダウンでVildhjarta風の激重陰鬱リフをぶち込んでくるのが最高にクール! クリーンボーカルが主役で驚いたファンも多かったようですが、あえて最初のシングルにして、新章を印象付ける狙いだったようです。本年度のベストチューン候補の1つ!
#3 “Eternal.Harvest”
メタルコアの激しいパートからサビで一気にシューゲイズへスイッチ。幻想的なエレクトロニックパートとクリーンボーカルが交錯してアクセントを添えます。これ以前にもクリーンボーカルをフィーチャーした曲はありましたが、より自然に溶け込むミックスになっており、シューゲイズらしさがアップしているのがポイント。
#4 “Ataraxia”
#3を踏襲したメタルコアとシューゲイズのクロスオーバー曲。後半にピアノを散りばめたアンビエントなパートを配置し、電脳世界のぼやけた光のエフェクトのような幻想美を演出。イカロスの物語の終焉と新たな幕開けを予感させます。
アートワークが紡ぐ物語
リリース順にアートワークを振り返ると、“Monochrome”では力を失いワイヤーを接続されたイカロスが描かれ、“Eternal.Harvest”ではサナギのような形態へと変化。そしてEP『Ataraxia』では光り輝くエーテル体となり、翼を持つ天使として再生を遂げます。墜落したイカロスが新たな命を得て、再び天へ飛翔することを示唆しているかのようです。このEPは、まさしくバンドの新生を宣言する作品といえるでしょう。
世界観のインスピレーション
fromjoyの世界観は、初期のデジタルアート全般、特にPS2時代のサイバーなヴィジュアルやアニメ『serial experiments lain』が大きなインスピレーション源となっているそうです。ブレイクコア路線のEP『away』の“Digital Armageddon”などでは、アニメ版lainのセリフが挿入されており、クリーンボーカル担当のGiovanniがライブでよくlainのTシャツを着ているあたり、コアなファンであることがうかがえます。ちなみにセルフタイトル作の初回アナログ盤に使用された玲音そっくりのイラストは、デザイナーがfromjoyのサウンドから本能的にlainの影響を嗅ぎ取って生まれたものだそう。
国内外を問わず波及するlainの影響力たるや恐るべしです。本当に世界に偏在することになるとは、当時の視聴者も想像だにしなかったでしょう。
新生fromjoyはメタルコアとシューゲイズの架け橋となるか?
新生fromjoyが、シューゲイズを取り込んだ先にどんな変化を遂げていくのか非常に楽しみです。また、fromjoyのようにメタルコアとシューゲイズのクロスオーバーを試みるアーティストは徐々に増えており、ニューゲイズの次にブレイクするのでは?と期待しています。Kardashevのデスゲイズ(デスメタル×シューゲイズ)に比べ、従来のシューゲイズファンにも受け入れやすい点も魅力です。次のムーブメントとして、早めにチェックしておくのが吉!