Kardashev

Alunea

Kardashev

Alunea

  • release date /
    2025-04-25
  • country /
    US
  • gerne /
    Death Metal, Deathcore, Deathgaze, Post-Metal, Progressive Metal, Shoegaze
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

アリゾナ州テンピのデスゲイズ・バンド、Kardashevの3rdアルバム。Killswitch EngageやCannibal Corpseなどを擁するヘヴィメタル・レーベル、Metal Blade Recordsからリリース。

Kardashevのバイオグラフィー

Kardashevは2012年に結成され、2021年にMetal Blade Recordsと契約後、2ndアルバム『Liminal Rite』で高い評価を獲得。デスゲイズという独自の音楽性を世に知らしめました。

バンド名は旧ソ連の天体物理学者ニコライ・カルダシェフが提唱した「カルダシェフ・スケール」に由来し、初期のSFをコンセプトとした作品の制作時に名付けられました。本作『Alunea』でもその世界観は継承されており、歌詞にはEP『The Almanac』で登場した人工言語「Alunea」が使用されています。これはメインキャラクターのAtlasとSky-Brotherの2人の対話を表現するために用いられ、世界観を共有する鍵として機能しています。いわばMAGMAのコバイア語みたいなものですね。

制作時のメンバーは以下の通り。

  • Mark Garrett(ボーカル)
  • Nico Mirolla(ギター)
  • Alex Rieth(ベース)
  • Sean Lang(ドラム)

デスゲイズとは?

Kardashevが掲げる『デスゲイズ』は、デスメタルとシューゲイズを組み合わせたジャンル名で、ギタリストNico Mirollaが提唱し、『The Almanac』や『The Baring of Shadows』制作期にアトモスフェリックな側面を強める過程で生まれました。フロントマンのMark Garrettも、「デスメタルの攻撃性とシューゲイズの感情性・開放性を融合させたもの」と語っています。引用:Meet the viral YouTuber who’s inventing a new death metal genre 一方で、別のインタビューでは「Instagramで誰かが言い始めたもの」とも語っており、真相ははっきりしません。より深く知りたい方は、YouTubeの解説動画を見るのがおすすめです。Nico Mirollaによって、彼らがデスゲイズという名称にたどり着いた背景が詳しく解説されています。KARDA-CAST - WHAT EVEN IS DEATHGAZE?

そんなデスゲイズですが、追随するアーティストも徐々に現れ、コアなリスナーの間で注目を集めています。

前作『Liminal Rite』の特徴

デスゲイズの魅力を知らしめた前作『Liminal Rite』は、全体的にブラストビートが多用され、デスメタルらしい複雑なギターワークやデスコア風のビートダウンを交えた非常に激しいサウンドを展開。ボーカルはスクリーム/グロウルと情感豊かなクリーンボーカルを使い分け、ブラックゲイズに通じる醜美のコントラストを生み出しています。また、クリーントーンを散りばめた静かなパートもシューゲイズ/ポストロックに通じる浮遊感を醸し出しています。ベースのAlex RiethはHoly Fawnの元メンバーなので、その影響もあるかもしれません。個人的には“Silvered Shadows”と“Cellar of Ghosts”がおすすめです。

本作『Alunea』の印象

本作『Alunea』にも、その作風は引き継がれていますが、アトモスフェリックな要素がやや減少したため、シューゲイズというよりプログ/ポストメタルとデスコアのブレンドに留まっている印象を持ちました。シューゲイズ要素を担っているのは主にクリーンボーカルですが、エクストリームメタルでのクリーンとグロウルの切り替えは、Opethを筆頭に昔から存在し、デスゲイズならではの要素とも言い難いところ。

よって現状ではデスゲイズは発展途上であり、シューゲイズの一派と認定するには少々早いと私は考えます。しかし、最近ではニューゲイズ(ニューメタル×シューゲイズ)の先鋭化にともなって、メタルコアとシューゲイズの融合もしばしば見られることから、デスゲイズの担い手も増えていく可能性がありそうです。早耳のリスナーは、今後の動向を要チェックです。

シューゲイズかどうかはさておき、Kardashevのプログレッシブな構成美や、静と動の対比、そしてボーカリストの表現力は非常に素晴らしいので、次の作品も楽しみにしています。

人工言語「Alunea」が創造する物語

楽曲の世界観に惹かれた方は、ぜひ歌詞にも注目してみてください。アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』やグレッグ・イーガンの『ディアスポラ』にも通じる、壮大かつ哲学的なSFストーリーが展開されています。

ちなみに、人工言語「Alunea」は、バンドが公開している辞書を使えば解読も可能です。本作を深く理解するのに役立つはずなので、ぜひ挑戦してください。Alunea [Language] - Kardashev

過去作のレビューはこちら▶Kardashev『The Almanac』のレビュー