
SOM
Let The Light In
SOM
Let The Light In
- release date /2025-07-14
- country /US
- gerne /alternative-rock, doomgaze, post-metal, shoegaze
US出身のポストメタル/ドゥームゲイズ・バンドSOMの3rdアルバム。ポストメタル界の名門レーベル、Pelagic Recordsからリリース。
SOMは、Caspian、Junius、Constantsの現・元メンバーによって結成され、これまでアルバムとEPをそれぞれ2作ずつリリース。本作のレコーディング中に創設メンバーのドラマー、Duncan Richが脱退し、それに伴ってメンバー構成が変更。現在のラインナップは以下の4人編成となっています。
グランジやシューゲイズ、ドゥームメタル由来の重厚なギターと幽玄なボーカルの調和が生み出す陶酔的なサウンドは、メタル系の音楽メディアMetal Injectionによって「ドゥームポップ」と形容され、まるで茨の棘に絡みつく甘美な蜜のような個性的な味わいを生み出しています。2023年のEPで見せたDepeche Modeへの憧憬や、グリーンのアートワークで示されるType O Negativeへのリスペクト*もしっかりと継承されています。
※インタビューで、グリーンのアートワークがType O Negativeのオマージュであることが明かされています。また、別のインタビューでは、ボーカリストのWill Benoitがバンド初期の構想において「Type O NegativeのPeter Steeleのような圧倒的な存在感を持つキャラクター」を思い描いていたと語っています。彼自身はそのような人物にはなれないとしながらも、そのイメージは常に頭の片隅にあったとのことです。
本作では『Let The Light In』というタイトルの通り、従来のメランコリックな作風から希望の光へと歩みを進めるような変化が感じられます。パンデミック期の陰鬱なムードの中で書かれた#2 “Let The Light In”では、「光を招き入れよう」と繰り返し歌われており、その変化を象徴するナンバーとなっています。
その影響で、全体的にダークさは控えめになっており、ダークシューゲイズ目線だと少々物足りなさもありますが、静と動・光と闇のコントラストが冴える#5 “Give Blood”、退廃的で深い哀愁を放つ#8 “The Light”といったダークな楽曲たちは、かえって強く存在感を放っています。「光が強ければ、闇もまた深くなる」とは実に言い得て妙ですね。とはいえ、過去作より光のオーラが強めな点は、少々好みが分かれるところです。
10月からは、Slow CrushのUKツアーでBlanketとともに各地を巡る予定のSOM。闇の中で希望の光を見出した彼らがどんな成長を遂げるのか、とても楽しみです。いつか日本にも来てほしいですね。