
past self
Premonitions
past self
Premonitions
- release date /2024-12-13
- country /US
- gerne /darkwave, dream-pop, gothic, indie-pop, newwave, post-punk, shoegaze
k-goth(korean gothic)を掲げるLAのダークウェイヴ/シューゲイズ・バンドの2ndEP。
Sung (Gt/Vo), æther (Syn), Spektor (ba)のトリオ編成で、The Cure、Molchat Doma、Slowdiveに多大な影響を受け、80年代のゴス/ポストパンクをベースにキラキラとしたギターとシンセをまとわせた優美なサウンドが特徴。
さらに前作の1st EPから、韓国生まれのSungによる韓国語の歌詞を取り入れ、通常のゴシック系とは一線を画すオリジナリティを生み出しています。本作も英語の間に顔を出す韓国語の響きがなんとも妖しげで、最恐ホラー産出国らしい闇深さを感じさせます。ダークさは文句なしに過去最高レベル。
しかし4曲のうち1曲はイントロ扱いなので、ボリュームはやや物足りなさを感じました。この勢いでニューアルバムに期待したいですね。
また、白装束をまとい、白塗りメイクの上から赤い帯で目を覆った異質なヴィジュアルも見どころの1つ。ライブ活動も活発なようで、MareuxやTwin Tribes、Drab Majestyといったそうそうたるメンツと対バンしています。いつか日本でライブを拝みたいものですね。

Life on Venus
Negatives
Life on Venus
Negatives
- release date /2024-12-16
- country /Russia
- gerne /dream-pop, grunge, nu-gaze, post-rock, shoegaze
ロシア発シューゲイズ・バンドの2ndEP。2015年にモスクワにて結成。当初は4人編成でしたが、デビューアルバムのレコーディング時には5人となり、3rdアルバム“Homewards”からDmitry Kostryukov(Vo/Ba), Oleg Kopytin(Gt), Gulnara Tukshaitova(Dr)のトリオとなったようです。
彼らを初めて知ったのは1stEPのDeparture。#1“What Lies Beneath”の胸を抉るような慟哭のメロディと激しいノイズを伴う重轟音に一瞬で虜になったのをよく覚えています。この曲は2ndアルバムで再録されましたが、EP版の粗い音質の方が刺すような哀しみが伝わってきてお気に入り。まあ思い出補正もあると思うけど(笑)
さて本作でも彼らの醍醐味であるメランコリックな感性は健在。彼らが敬愛するSlowdiveを彷彿とさせる儚げなアルペジオが降り注ぐ中を、Dmitryの繊細な歌声が哀しげに木霊し、「夜」や「冬」を連想させるサウンドスケープを生み出しています。例えるなら真夜中の雪原で迷子になったThe Daysleepers、あるいはシューゲイズ化したThe CureのDisintegrationのようでもありながら、近年のニューゲイズ系に通じるヘヴィネスもあわせ持つ隙の無さには脱帽するばかり。ダーク・シューゲイズの理想形の1つがここにあります。
WhirrやLast Leaf Down、Holy Fawnなどが好きな方は必ずチェックよろです。あとはロシアの情勢が落ち着いて来日してくれるのを願うばかりですね。

sadchelsea
葬送
sadchelsea
葬送
- release date /2024-12-18
- country /Japan
- gerne /alternative-rock, gothic-rock, newwave, post-punk, shoegaze
東京のナイトメアポップ・バンドの1st EP。
sadchelseaを初めて知ったのは、SoundCloudにアップされたburning up the hillという曲のデモでした。SNSでたまたま流れてきたのを聴いてみたら、ゴスの妖艶なムードをまとったダークなシューゲイズ・サウンドにたちまち魅了されました。
彼らの待望のデビュー作は、ホラー映画を連想させるワルツ調のインストナンバー#1“666”で幕を開けると、「ナイトメアポップ」の名にふさわしいダークなサウンドが展開されていきます。キャッチーでありながら毒気をまとったポップセンスが特徴で、Tommy heavenly6や椎名林檎、土屋アンナ、ART-SCHOOLといったアーティストたちの血をガソリンにして、ゴスやV系のエンジンを駆動させているような印象を持ちました。それはまるで闇夜に咲く、光を帯びた美しき花のようで、手を触れればたちまち毒に侵され、虜になってしまうことでしょう。
私のイチオシは#4“求愛瞳孔反射”。イントロでリードギターがなめらかに歌い、Bメロでドリーミーなアルペジオを散りばめ、サビで一気に哀愁を爆発させる。退廃的な歌詞も含め、彼らの魅力が凝縮した渾身のナンバーだと思います。ドリームポップ/シューゲイズ好きもぜひお試しあれ。
今回収録された4曲は、シューゲイズ度こそ控えめですが、「burning up the hill」を含めライブでしか披露されていない曲も多く、まだまだ手札を隠し持っているのは間違いありません。次のリリースが待ち遠しいですね。

Whirr
Raw Blue
Whirr
Raw Blue
- release date /2024-12-25
- country /US
- gerne /alternative-rock, dream-pop, shoegaze, slowcore
USカリフォルニア州モデストのシューゲイズ/ドリームポップ・バンドの4thアルバム。
なんとWhirrの5年ぶりのアルバムが、クリスマスにサプライズリリースされました。前作と同様にBandcamp限定公開です。※2025年1月21日にサブスクが解禁されました
前作『Feels Like You』を継承した青いアートワークから今回もメロウな路線かと思いましたが、『Sway』を彷彿とさせる冷気が大幅に復活しています。
ノイズの中にクリスタルのような輝きを内包したギターが、氷原を吹き抜ける風のように鋭くリスナーの心を切り裂き、その痛みを柔らかなウィスパーボイスが優しく包み込む……このコントラストが生み出すメランコリックな世界観こそWhirrの真骨頂。
ラストを締めくくる#10“Enjoy Everithing”でのダイアモンドダストのようなサウンドスケープをバックに泣きまくるトランペットがまた絶品。全てが名曲レベルで、ファンにとって最高のクリスマスプレゼントとなること請け合いです。本年度のベストアルバムを決める前に必ず全員チェックよろです。
ちなみにWhirrをSNSのIDにするほど敬愛しているWispもインスタで「Best Christmas Ever! 」と大喜びのもよう。両者の共演が待ち遠しいですね。