
trauma ray
Carnival
trauma ray
Carnival
- release date /2026-02-20
- country /US
- gerne /Alternative Rock, Doom Metal, Emo, Grunge, Post-Rock, Shoegaze
テキサス州フォートワースのシューゲイズ・バンド、trauma rayの2026年発EP。
レーベルは名門Dais Records。Uriel Avila(ボーカル/ギター)とJonathan Perez(ギター)を中心に2018年に結成され、現在はDarren Baun(ベース)、Nicholas Bobotas(ドラム)、Coleman Pruitt(ギター)を加えた5人編成で活動している。デビュー当時からSlowdiveの幽玄さ、HumやDeftonesの重量感、90年代オルタナティブ・ロックのダイナミズムを融合させたサウンドに磨きをかけ、2024年には初のフルアルバム『Chameleon』を発表。翌年にはDeafheaven、Loathe、Touché Amoréらとのツアーも経験し、現在のシューゲイズ・リバイバルを代表する存在の1つへと成長を遂げている。
5曲、約24分で構成された『Carnival』は、前作『Chameleon』の轟音とメロディの対比を引き継ぎながら、グランジやドゥームメタルを思わせる攻撃的なリフが随所で顔を出し、これまで以上にダークな領域へと挑んでいる。
#1 “carousel”はドラムレスの穏やかなイントロダクション。ノイズが徐々に濃度を増し、不吉な予感を忍ばせながら#2へシームレスに接続する。ここを境に一気に深い闇へと沈んでいく。
#2 “Hannibal”は、開幕からメタルやグランジを思わせるゴリゴリと激しいリフが主張する。ボーカルは「Tell Me Why?」という切実な問いを感情豊かに歌い上げ、ヘヴィな音像に負けじと強い存在感を放つ。
#3 “Méliès”は陰鬱でメロディアスなリフが印象的な一曲。シューゲイズというより、KatatoniaやSwallow the Sunに代表されるアトモスフェリック・ドゥームメタルやポストメタルの系譜を連想させるが、リヴァーブをまとった幽玄な歌声には、確かにシューゲイズの手触りが感じられる。両者を自然に結びつけるバランス感覚は、従来のシューゲイズ・リスナーにも新鮮に響くはずだ。アウトロでは繊細なパートへと移行し、儚い余韻を残していく。
そして本作で最も注目したいのが#4 “Funhouse”だ。冒頭からフューネラルドゥームを思わせる遅いテンポと、息苦しいほど暗いディストーションギターが響き渡り、一気に闇の中へと引きずり込まれる。それが収まると、今にも壊れそうな繊細なボーカルが浮かび上がるも、再びヘヴィなギターが現れ、光と闇、柔と剛が交錯していく。『Carnival』のダークな世界観を象徴する楽曲といえるだろう。冒頭の暗黒パートがやや独立して聴こえるものの、楽曲全体に馴染むようにアレンジすれば、より完成度が高まりそうだ。
#5 “Clown”では一気にメロディアスなシューゲイズへと転じる。とはいえ、trauma rayらしく一般的なシューゲイズと比べればかなりヘヴィだ。Clown=ピエロを意味するタイトルの通り、道化を演じる者の笑顔の裏に自嘲や苦悩が隠れていることを示唆し、心地よさの中に不穏な余韻を残して幕を閉じる。
『Carnival』というタイトルから祭りの華やかさを想像すると、実際のサウンドとの落差に驚かされるだろう。廃墟と化したメリーゴーランドのカバーアートが示す通り、ここには『何かが道をやってくる』のような邪悪で夢幻的な世界が広がっている。
シューゲイズ好きはもちろん、メタルやグランジなどヘヴィミュージックのリスナーにも響くレンジの広さと、それらを一貫したダークな世界観へと結び付けるアプローチが光る力作だ。本作を引っ提げた初来日公演にも期待したい。
