novulent - vol. 3

Novulent

VOL. 3

Novulent

VOL. 3

  • release date /
    2026-02-13
  • country /
    US
  • gerne /
    Alternative Rock, Emo Rap, Grunge, Shoegaze
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

米テキサス州ダラス出身のオルタナティブ・ロック・アーティスト、Novulentの3rdアルバム。

2022年にソロ・プロジェクトとして始動したNovulentは、TikTokで“Scars”などがバイラルヒットを記録し、Capitol Recordsと契約。BandLabとiPhoneを駆使して自室で楽曲制作を行うDIYスタイルを貫きながらも、現在はボーカル、ベース、ギター、ドラムによるバンド編成へと発展している。

17歳から楽曲制作を始めたNovulentは、活動初期はXXXTENTACIONやLil Peepといったエモラップを大きな影響源として挙げている。もともとシューゲイズも好んでいたが、ある出来事をきっかけに制作した“My Story 2”収録曲“Blinded”を境に、シューゲイズ・サウンドへ足を踏み入れたと語る。その転機には、当時繰り返し聴いていたWhirrの存在が大きく影響していたという。

以降はWhirrやDeftonesからの影響を昇華し、シューゲイズにニューメタル、グランジ、スロウコアを融合した独自のサウンドを確立した。お気に入りのアーティストに日本のPlastic Treeやdownyも挙げており、音楽的なルーツの幅広さもうかがえる。Novulent – VOL. 3(Starry Constellation Magazine)

『VOL. 3』は、三部作として展開されてきたシリーズの完結編。全13曲・約41分というボリュームで、これまでの歩みを総括しながら、物語性を意識した構成に挑戦している。

#1 “Peering Thought”は、Novulentとしては珍しくアップビートな高揚感を備えたオープニング。前作までと比べてミックスはより洗練され、ギターノイズを抑えた音像がボーカルと自然に溶け込み、一体感のあるサウンドとなっている。曲間を途切れさせないシームレスな構成や、アウトロにもひと工夫を加えるなど、アルバム全体の流れを意識した作り込みが光る。

#7 “evil eye”は、吸血鬼をモチーフに執着にも近い愛情を描いた楽曲で、アルバムはダークでヘヴィな方向へ大きく傾く転換点となる。ここからは轟音と内省的なメロディ、哀愁を帯びたボーカルが前面に現れ、Novulentらしい陰鬱な世界観が色濃くなっていく。

#13 “the world ends with you”は、本作のラストを飾るにふさわしいスケール感を持つ一曲。終盤まで積み重ねられた重苦しい空気を受け止めながら、どこか救いを感じさせる開放感のあるサウンドを展開。しかし、歌詞で描かれるのは自己犠牲にも近い愛情と破滅願望だ。

"I can't live without you, I'll join you soon.For that is my purpose, the world ends with you"
(「君なしでは生きられない。すぐに君のもとへ行く。それが僕の使命だから、世界は君と共に終わる」)

アルバム全体を通して見ると、喪失をきっかけに自己を見失い、支配、執着、自己犠牲、そして死への願望へと心理が変化していく過程を描いた作品として読み取れる。音像もダークでヘヴィへと変化していく構成が、物語性に説得力を与えている。

また、ドレッドヘアや鋭いピアス、全身のタトゥー、レザーアイテムといったヴィジュアルによって「堕天使」を思わせる独自のキャラクター性を確立している点にも注目したい。幻想的なイメージを前面に打ち出す新世代シューゲイズ・アーティストとは異なる独自の存在感も魅力の1つだ。

『VOL. 3』のリリース後には全米ツアーを開催し、2026年11月からは初のヨーロッパツアーも控えている。この堕天使が世界中でどれほど多くの眷属を増やしていくのか、今後の動向にも注目したい。