
Asylum
beach.
Asylum
beach.
- release date /2026-02-02
- country /Japan
- gerne /Alternative Rock, Alternative Metal, Grunge, Post-Hardcore, Shoegaze
東京のシューゲイズ・バンド、Asylumの1stアルバム。
2024年結成。シューゲイズ・ハードコアを標榜し、トリプルギターによる轟音とハードコア由来の推進力をシューゲイズへ落とし込んだサウンドを鳴らしている。アルバムはヘヴィでラウドな楽曲から、ドリーミーで浮遊感のある楽曲まで幅広く収録。ハードコアからシューゲイズのファンまで取り込めるレンジの広さも備えている。
ヘヴィミュージックの身体性にプログレッシブな構成美、シューゲイズの夢幻性を調和させる手法はしばしばLoatheを彷彿とさせるが、kento takashima(Gt/Vo)が綴る文学的で物語性に満ちた日本語詞と、深い感情を宿した歌声は、海外勢とは一線を画す独自の魅力となっている。よって、日本語ならではの叙情性とヘヴィな轟音の融合が彼らのアイデンティティの核といえる。
#1 “uminari”は、潮騒やモールス信号、イルカやセイレーンを思わせる声が溶け合う幻想的な導入から幕を開ける。水中を漂うようなアンビエントな音像の中で歌声は徐々に熱を帯び、ギターもボルテージを高めていく。ポストロック的なスケール感も相まって、脳裏に広大な海の情景が浮かび上がる。
#3 “null”では、不穏なトレモロギターから禍々しいリフが一気に押し寄せる。呪詛のような声や呻きが木霊し、まるで地獄の釜が開いたかのような様相だ。ブラックゲイズやポストメタル、さらにはドゥーム/デスメタルに匹敵するほどの暗黒度で、本作の闇の最深部を象徴する一曲といえる。
続く#4 “ihatov”は、彼らの持ち味が最も鮮明に表れた楽曲。ヘヴィな轟音と情感豊かな歌がせめぎあい、静謐なパートを経て、ハンマーのように断続的に振り下ろされるギター、感情を爆発させるラスサビ、そして終盤のブレイクダウンへとなだれ込む。#2 “Door”にもブレイクダウンは登場するが、さらに大胆な構成によって、強烈なカタルシスをもたらす。
#5 “Pietà”は、哀愁を帯びたメロディを軸にしながら、中盤の繊細なポエトリーリーディングから、開放的なムードへ移行。苦難の道のりから、光へと手を伸ばす過程を描く。
#6 “Angel”では、ポストロック風の幻想的なサウンドでゆったりと展開し、「祝福」や「救済」を渇望する切実な感情を描きながら、最後に灰色の海に天使の梯子が閃くようなドラマティックな情景をもたらす。そしてラストの#7 “beach.”は、ラジオ通信を思わせるSEを交えた穏やかなインストゥルメンタルで、静けさを取り戻した浜辺へ回帰する。
この浜辺の先で、Asylumがどのような景色を見せてくれるのか。その歩みから目が離せない。
