
Oceans Under Stars
A Nameless Fear in a Barren Land
Oceans Under Stars
A Nameless Fear in a Barren Land
- release date /2025-12-12
- country /Canada
- gerne /Alternative Rock, Doomgaze, Gothic, Grunge, Post-Metal, Post-Rock, Progressive, Shoegaze
カナダのダーク・ポストロック/グランジゲイズ・バンド、Oceans Under Starsのデビューアルバム。
Barrett Klesko(Gt/Vo)、Jonathan Webster(Dr)を中心に始動したコラボレーションプロジェクトで、ライブではベースとギターを加えた4人編成で活動している。
Barrettは、All Else Failsでメタルコア、The Secret Places of the Earthではアンビエントと、対照的なサウンドを追求してきたアーティスト。一方のJonathanは、Striker、The Tylor Dory Trio、Degeneratorを通じてヘヴィメタルからプログレ、ジャズまで幅広い経験を持つドラマーである。
そうした経験をシューゲイズへ昇華し、アンビエント〜ポストロック由来の内省的なパートと、ヘヴィに畳み掛けるパートを織り交ぜ、喪失や孤独をテーマにしたサウンドを展開している。哀愁を帯びたヘヴィなギターと幽玄なボーカルが絶妙なバランスで共存する様は、SOMやTrauma Rayを彷彿とさせるが、ゴリゴリと刻むギターリフには明確にメタル志向が表れている。そのため、中期KatatoniaやSwallow the Sunといったアトモスフェリックなプログ/ドゥームメタルを好むリスナーにも響くだろう。
#7 “Be Still (My Love)”は、Oceans Under Starsならではの内省美とヘヴィネスの融合を象徴する一曲。アンビエントな導入から重厚なサビへ移行する展開と、ウィスパーボイスからエモーショナルな歌唱を巧みに使い分けるボーカルワークが、静と動のダイナミクスを際立たせている。
#2 “Of Dust and Memory”では艶のある低音ボーカルとリードギターが絡み合い、Type O NegativeやParadise Lostに通じるゴシック的な美学も漂わせる。さらに、ジェント風のリフを取り入れた#6 “The Stars are Out of Sight”、TOOLを思わせるトライバルなリズムが顔を出す#8 “Whispering of the Storm”など、一般的なシューゲイズにはないアプローチも見どころだ。ヘヴィミュージックとプログレに精通した彼らならではの個性であり、カナダのシューゲイズシーンの奥深さを感じさせる。
2026年6月には日本ツアーも開催。私も会場に足を運んだが、音源を超える力強い演奏を繰り広げ、オーディエンスを熱狂させた。また、ギタリストのバッキング・ボーカルが美しいハーモニーを生み、シューゲイズらしい立体的なレイヤーと浮遊感をより際立たせていたのもライブならではの発見だった。
そして最大のトピックは、Type O Negativeの“Love You to Death”のカバーが披露されたことだ。音源から感じられた同バンドの影響が、明確に裏付けられた瞬間だった。また、JonathanがChelsea WolfeやEmma Ruth Rundleのファンであることも、ゴシック的な美学を形作る一因だろう(それぞれWalking in Shadows、Smoking in ChurchのMVで確認できる)。
近年はSOMやSplit Chain、Graywaveなど、Type O Negativeからの影響を公言するシューゲイズ・バンドも少なくないが、本作もゴシックとシューゲイズの結び付きを示す興味深い一例といえる。
