
Mary Mortem
Phantoms of the Fall
Mary Mortem
Phantoms of the Fall
- release date /2026-02-26
- country /US
- gerne /Doom Metal, Doomgaze, Funeral Doom, Gothic, Post-Metal, Shogaze, Sludge Metal
USオクラホマ州タルサのポストメタル/ドゥームゲイズ・アーティスト、Mary Mortemのデビューアルバム。
Mary Mortemは2018年頃から始動したプロジェクト。貧困や薬物依存、暴力が身近にある過酷な環境で育ち、その孤独感や現実逃避への衝動を音楽へ投影してきた。その背景にはSlipknotやDeftonesなど90〜2000年代初頭のラウドミュージックを入口に、ポストハードコアやモールエモを経由しながら、Chelsea WolfeやNicole Dollangangerといった内省的なアーティストへ傾倒していった経緯がある。
本人は初期音源に否定的な姿勢を見せているが、当初はウィッチハウスやトラップ寄りの作風を展開。本作で初のフルバンド体制へ移行し、ドゥームゲイズ/ポストメタルの領域へと踏み込んでいる。ノイジーなトレモロギターと催眠的なリフ、儚げなクリーンボーカルと悲痛なスクリームが交錯し、随所にAmenraを彷彿とさせる場面もあるが、シューゲイズ由来の幽玄美と浮遊感が、サウンドに奥行きを与えている。
#1 “Dead in Oologah”は幼少期を過ごした土地Oologahの名を冠しており、劣悪な家庭環境の記憶が負のイメージを浮かび上がらせる。アルバムのテーマを暗示する内容となっている。#5 “The Hollowing”は、弔いの鐘のようなギターに虚ろなボーカルが重なり、次第にかきむしるようなノイズへと変質していく中で、“Offer your bones and lie down /
The forest is your home”──「骨を捧げて、横たわれ/森がお前の家だ」というフレーズが反復される。自らの意思が強迫観念によって溶解していき、忌まわしい記憶に囚われ続けるサイクルを示唆している。本作の闇深さが最も結実した瞬間の1つだ。
なお、2026年には次回作のリリースも予定されており、前作以上にエモーショナルかつヘヴィな内容になるという。しかし、単なる絶望ではなく、傷や孤独に寄り添い、前へ進むための糧となる作品を目指していると語る。今後の動向に注目したい。
