
Heretoir
Solastalgia
Heretoir
Solastalgia
- release date /2025-09-19
- country /Germany
- gerne /Blackgaze, Post-Black Metal, Post-Metal, Post-Rock, Progressive
ドイツのポストブラックメタル・バンド、Heretoirの4thアルバム。
2006年にDavid Conrad(Vo/Gt)のソロ・プロジェクトとして始動。その後、Matthias Settele(Ba)、Nils Groth(Dr)が加入。現在はKevin Storm(Gt)、Stefan Dietz(Gt)を含む5人体制で活動している。アルバムタイトル『Solastalgia』は、“solācium”(慰め)と“algia”(痛み)を組み合わせた造語で、環境破壊による喪失感や苦悩をテーマにしている。
サウンドは前作以上に立体感と迫力を増し、幻想的なメロディと重厚な轟音が鮮やかなコントラストを描く。David Conradのボーカルも表情豊かで、繊細なクリーンボーカルと激情的なスクリームを自在に行き来しながら、楽曲に深い陰影を与えている。
冒頭を飾る#1 “The Ashen Falls”と#2 “Season of Grief”は特に強力。シューゲイズ/ポストロック由来の繊細さとブラックメタルの獰猛さが激しく交錯し、哀愁を帯びたメロディとドラマティックな展開で、一気にアルバムの世界へ引き込んでいく。特にドラムが秀逸で、ブラストビートの爆走パートでリズムパターンを使い分け、激しさの中に緩急を生み出している。
前半はヘヴィかつダークな空気感が支配する一方、ピアノインスト#5 “Rain”以降はAlcestを思わせる夢幻的なパートも増加。#8 “Burial”と#9 “Solastalgia”で陰鬱さがピークに達した後は、わずかな光も滲ませていく。約1時間の長尺ながら、Alcestの幻想美とDeafheavenの激情を受け継ぎ、起伏に富む構成で描き切っている。アルバム全体を通して聴くことでテーマの本質が理解できる作品だろう。
環境破壊、戦争、経済不安──人類が積み重ねてきた歪みを前に、その嘆きはどこまでも重く響く。本作は、ゆるやかに滅びゆく世界に向けた弔歌であると同時に、それでもなお抗い続けようとする微かな希望も宿している。
EUヘッドラインツアーも決定しており、来日にも期待したい。
