split chain - motionblur

Split Chain

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Split Chain

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  • release date /
    2025-07-11
  • country /
    UK
  • gerne /
    Alternative Rock, Emo, Grunge, Nu-Metal, Post-Punk, Shoegaze
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

UKブリストルのシューゲイズ・バンド、Split Chainのデビュー・アルバム。

2023年に結成。現在のメンバーはRoberto Martinez-Cowles(Vo)、Jake Reid(Gt)、Oliver Bowles(Gt)、Tom Davies(Ba)、Aaron Black(Dr)の5名。楽曲制作だけでなく、グラフィックや映像、ウェブサイト、マーチまで自ら手掛けるDIYなスタイルで注目を集めてきたバンドだ。初期シングルの段階からTikTokを中心に支持を拡大し、Bad Religionの創設者が運営する名門レーベルEpitaph Recordsから劇的なデビューを飾った。

本作は、シューゲイズとポストハードコア、グランジ、ニューメタルのクロスオーバーが軸となっている。ざらついたギターの質感と浮遊感のあるメロディ、メロディアスな歌唱とスクリームのコントラストが共存し、轟音の中に湿度の高いメランコリーを滲ませている。全11曲・約35分というコンパクトな構成ながら、柔と剛、静と動を軽やかに横断し、強度を保ったまま一気に駆け抜ける。

プレイステーションの起動音で始まる#1 “Under The Wire”は、ヘヴィかつグルーヴィーなリフとビートダウンで、瞬きする間もなく強烈な先制攻撃を食らわせる。一転してメロディックな#2 “bored. tired. torn.”では、メランコリックなサビが高揚感をもたらし、#3 “I'm Not Dying to Be Here”では、アンニュイな歌唱とエモーショナルなサビのコントラストで感情を激しく揺さぶる。この3曲だけですでにインパクトは絶大だ。

さらに特筆すべきは#5 “who am i?”だ。ポストパンク由来の疾走感とゴスの毒気をまとったアグレッシブな楽曲で、バンドのダークな美学が色濃く表れている。また、#7 “Greyintheblue”では、沈み込むような重さと退廃的な空気感、コーラスの幽玄な美しさが強い余韻を残す。

こういったダークな楽曲の背景を語る上で、ダークウェイヴやニューウェイヴを好むベーシストTomの貢献に加え、Type O Negativeからの影響も外せない。Split ChainはライブでType O Negativeの“I Don’t Wanna Be Me”をカバーし、後に音源化も行っているほか、『October Rust』をモチーフにしたマーチを制作するなど、同バンドへの強いリスペクトを表明している。

ハードコア・パンクとゴスのロマンチシズムを併せ持つ点に強く共鳴しているのだろう。アートワークに関しても、Type O Negativeを象徴するグリーンに対し、Split Chainはブルーをメインカラーに採用している(最初のMV『Get Inside』の色調を模索していた時に偶然出会った表現と述べている)。このアプローチからも両者に共通する美学が浮かび上がる。また、Type O Negative自身も影響源としてCocteau TwinsやMy Bloody Valentineを挙げている。これはシューゲイズとゴスの結びつきを示す興味深い接点ともいえる。

総じて『motionblur』は、Deftones-coreの文脈を踏まえつつ、シューゲイズ、エモ、ハードコア、グランジ、ゴスの有機的な融合に成功している。ラウドでありながら浮遊感を失わず、生々しい憂鬱な感情を鮮明に捉える感覚が、このバンドの大きな強みだ。Soul Blind、Narrow Head、Fleshwater周辺のオルタナメタル/ヘヴィシューゲイズを追っているリスナーはもちろん、ゴス/ダークウェイヴを好むリスナーにもフィットするだろう。

結成から現在までを猛烈なスピードで駆け抜けてきたSplit Chainだが、2026年にはアルバム以降初となる新曲“sylvia (i won't belong to you)”を発表し、ツアーも精力的に継続している。"The chain does what it wants.(チェーンはやりたいようにやる)"というバンド内の共通言語が示す通り、その勢いはなお拡大を続けている。Roberto Martinez-Cowlesはインタビューで「日本で演奏する・Deftonesと共演する・アメリカでヘッドライン公演を行う」を3大目標として語っているが、その未来も決して遠い話ではないだろう。