
iVy
混乱するアパタイト
iVy
混乱するアパタイト
- release date /2025-06-18
- country /Japan
- gerne /Alternative Rock, Dream Pop, Electro Pop, Indie Pop, Shoegaze
東京を拠点に活動するオルタナティブ・ポップ・デュオ、iVyの1stフルアルバム。
SNSで出会ったfuki(Vo/Gt)とpupu(Vo/Key)により2023年に結成。当初は宅録主体で、SoundCloudを中心としたプライベートな活動だったが、ライブを重ねる中で注目を集め、1st EP『幽泳プログラム』をリリース。iVyちゃんという架空のキャラクターをコンセプトに、内省的な感情をカラフルなサウンドで描く作風が人気を博した。2023年10月の初ライブから2年足らずで、2025年8月にはWWWでの初ワンマンを成功させ、同年11月には初の海外公演も実現。国内外で存在感を急速に高めている。私が初めてライブを観たのは2024年3月の中野heavysick ZEROだったが、その後の飛躍は目を見張るものがある。
本作のタイトル『アパタイト』は、iVyちゃんのイメージカラーでもある水色の宝石に由来し、サウンドの透明感や幻想的な世界観を象徴している。前作で確立されたドリーミーなサウンドはさらに磨かれ、ポップさやユーモアを強めつつ、多彩で感情豊かなアプローチへと発展している。
重厚なギターのサウンドメイクにWispとの共鳴を感じさせる#2 “ホワイト・リバー・ジャンクション”、ドリーミーでキャッチーなサウンドと自罰的な歌詞のコントラストが印象的な#3 “ヴァンパイア”、切実な感情を吐露するポエトリーパートが胸に迫る#6 “any n○ise”、サイレンのようにうねるシンセがパーティーのような高揚感をもたらす#12 “ファミレス・ロック”など。アルバム全体を通して、カラフルな曲調が次々と飛び出し、まるで遊園地に放り込まれたような心地が味わえる。
その一方で、前作と比較するとメランコリックなムードはやや後退している印象だが、それはあくまで表層的な変化に過ぎない。歌詞に目を向けると、ポップなメロディの裏に、わずかな不穏さや痛みが潜んでいることに気づくはずだ。グリム童話の原典や、MOTHER、UNDERTALEに通じる、純粋さの奥に潜む陰影。その気配に、私はどうしても惹きつけられてしまう。
また、歌詞はメロディに滑らかに寄り添うよう配置され、ときに意味を越えて、心地よい響きそのものとして機能している。ポップなメロディセンスと、歌詞がもたらす言語的な快楽の調和こそが、iVyの人気の秘訣の1つといえるだろう。
