Unreqvited

A Pathway to the Moon

Unreqvited

A Pathway to the Moon

  • release date /
    2025-02-07
  • country /
    Canada
  • gerne /
    ambient, black-metal, blackgaze, post-metal, post-rock, progressive, soundtrack
Light
Dark
Soft
Heavy
Clear
Noisy
Slow
Fast
Pop
Extreme

カナダ発ポストブラックメタル/ブラックゲイズ・プロジェクトUnreqvitedの7thアルバム。

Unreqvitedは、鬼(Ghost)によるソロプロジェクトで、2016年のデビュー以来、ピアノやストリングスによる壮麗なシンフォニーとブラックメタルの暴力性を融合してドラマティックな作品を生み出してきました。本作から新たな試みとして本格的にクリーンボーカルを導入し、未踏の領域へと踏み出しています。

冒頭の#1 “Overture: I Disintegrate”で、メランコリックなピアノの伴奏にのせて本人による美しいクリーンボーカルを披露。これまでもコーラス風の演出はありましたが、ここまで全面的に歌っているのは初めてだと思います。

#2 “The Antimatter”は、従来のUnreqvitedらしいシンフォニックな爆走でスタートし、緩急を巧みにスイッチしながら、クリーンボーカルとスクリームを交錯させるドラマティックな構成で魅せる。Unreqvitedの過去と現在、そして未来を暗示する象徴的なナンバー。

ハイライトは#3“The Starforger”。物悲しいアルペジオで始まり、神秘的なシンセと泣きのギターが絡み合いながらじっくりと進行し、サビで一気にエモーショナルな歌声を爆発させる。これがTesseracTのダニエル・トンプキンスを彷彿とさせる美声で衝撃……!

#4 “Void Essence / Frozen Tears”、#5 “Into the Starlit Beyond”は、クリーンボーカルとスクリームの対比が光るミドルテンポのポストロック風ナンバー。トレモロギターとシンセの煌めきが天球を埋め尽くす星々のよう。

ラストの#7“Departure: Everlasting Dream”は、エンドロールにふさわしいピアノとストリングスによる安らかなナンバー。“The Starforger”のメロディが走馬灯のようにプレイバックされ、静かに物語は幕を下ろします。

プログレッシブかつドラマティックに進化を遂げた革新作。目を閉じて聴けば、SF映画のような壮大なヴィジョンが脳裏に浮かぶことでしょう。アルバムを聴き終えた時、私の頭の中にはクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』や星野之宣の『緑の星のオデッセイ』の感動的なラストシーンが浮かんできましたが、あなたはどんな物語を思い浮かべましたか?

Unreqvitedは、2025年5月からTribulation・Unto Othersと共に北米ツアーを敢行。バンド編成のUnreqvitedが、どんなパフォーマンスを繰り広げるのか非常に楽しみです。明日の叙景とのスプリットを出した縁もあることですし、来日にも期待したいところですね!