
Shedfromthebody
Whisper and Wane
Shedfromthebody
Whisper and Wane
- release date /2025-01-17
- country /Finland
- gerne /Doomgaze, Drone, Folk, Gothic Metal, Post-Metal
フィンランドのソロアーティスト、Shedfromthebodyによる4thアルバム。
Shedfromthebodyは、フィンランド出身のSuvi Savikkoによるソロプロジェクト。彼女はヴィジュアルアートをルーツに持ち、音楽制作のみならず、アートワークやミュージックビデオの制作も手掛けるという徹底した美学を持つDIYアーティストで、2018年にデビューして以来、ゴシック、ダークウェイヴ、シューゲイズ、ドゥームメタルなどをブレンドしたダークなサウンドに北欧フォーク由来の神秘的なメロディを調和させた独自のスタイルを確立しています。
本作は北欧フォークとドローン/ドゥームメタルの影響が色濃く現れており、ゆったりとしたリズムをベースに、妖精のように儚げな、あるいは魔女のように妖艶な歌声を巧みに使い分け、ヘヴィかつ催眠的なサウンドを展開しています。イチオシは#4 “Sungazer”。子守唄風の穏やかな導入から、徐々にヘヴィなギターが加わり、躍動感のあるリズムで恍惚へと至らしめる古代の祭祀めいたナンバー。ミュージックビデオでシャーマンのように一心不乱に踊るSuvi Savikkoの姿も見どころです。
北欧フォークとブラックゲイズのクロスオーバーは少なくないものの、ドゥームゲイズの文脈ではなかなか貴重だと思います。Dead Can DanceやChelsea Wolfe、Sylvaineなどがお好きな方はぜひチェックしてください。

Echos
QUIET, IN YOUR SERVICE
Echos
QUIET, IN YOUR SERVICE
- release date /2025-01-17
- country /US
- gerne /Alternative Rock, Darkwave, Dream Pop, Electronic, Gothic, Neoclassical, Nu Metal, Shoegaze
ワシントン州バトルグラウンド出身のシンガーソングライター、Echosの4thアルバム。Sumerian Records傘下のOutlast Recordsからリリース。
Echosは、ボーカリスト/シンガーソングライターのAlexandra Nortonが19歳の時に始動させたプロジェクト。名義はParamoreの楽曲『Misguided Ghosts』の歌詞に由来しています。これまで繊細な歌声を活かしたエレクトロ路線で人気を博してきましたが、本作ではオルタナティブロックやニューメタルに由来するヘヴィなギターを取り入れ、よりダークな世界観を開拓しています。この変化の背景には、Paramoreの影響に加え、Alexandraが現在お気に入りとして挙げるEthel CainやSpiritboxの存在があったようです。
注目はタイトルトラックの#3 “QUIET, IN YOUR SERVICE”。Evanescence(オルタナ/ゴシックメタル)とWisp(ニューゲイズ)を巧みに融合させたような楽曲で、ダークなサウンドの中に深い哀しみを宿した歌声が響き渡り、胸が張り裂けそうなほどの切なさが押し寄せてきます。#5 “OVER & OVER”ではさらに激しいギターが飛び出し、エコーズACT3ばりのヘヴィネスを見せつけます。これには従来のファンも驚いたことでしょう。その後も暗く哀しい楽曲が連続しますが、ラストを飾る#9 “TOLERANCE”では神秘的なコーラスが降り注ぎ、長い夜の先に訪れる日の出のようなカタルシスをもたらしてくれます。
Alexandra自身が「鬱病を克服し、自分を取り戻す手助けをしてくれた」と語るように、このアルバムは同じような苦しみを抱える人々の心を癒やしてくれることでしょう。近い系統のアーティストとしてはAmira Elfekyが挙げられますが、Echosはより幻想的で浮遊感があるため、ドリームポップやシューゲイズのリスナーにもおすすめです。
ちなみにEchosのSNSで#twilightcoreというタグが頻繁に使用されていたため、どんな意味か調べたところ、映画『トワイライト』のゴシック調のロマンティックなスタイルを指す言葉だと判明しました。EchosがいかにParamoreから強く影響を受けているかが覗えますね。

Nostalgiaisfun
Obituary
Nostalgiaisfun
Obituary
- release date /2025-01-21
- country /US
- gerne /Alternative Rock, Grunge, Nu-Gaze, Shoegaze
フィラデルフィアのソロ・シューゲイズ・プロジェクトNostalgiaisfunの2ndアルバム。
ドリーミーだった前作から一転して、退廃的なシューゲイズへと大変身。深いリバーブを効かせた音響に虚ろなささやき声が木霊し、雨音のようなクリーントーンを散りばめながら、スロウテンポでじっくりメランコリーに沈めてくれます。
注目は流麗なストリングスをフィーチャーした#4 “Decolate Circuit”と#6 “Existential Crisis”。ヴァイオリンではなく、ヴィオラやチェロを使用しているとのことです。シューゲイズにおいては轟音ギターとの棲み分けが難しいので、あまりストリングスが使われることはありませんが、工夫次第で非常に強力な武器になるという好例ですね。

Pale
Our Hearts In Your Heaven
Pale
Our Hearts In Your Heaven
- release date /2025-01-10
- country /Japan
- gerne /Blackgaze, Noise, Post-Black Metal, Post-Hardcore, Shoegaze
東京のポストブラックメタル/ブラックゲイズ・バンドPaleのデビューアルバム。
2018年のEPリリース以来、約7年ぶりの新作となります。メンバーはギタリストの渡邊氏を除いて刷新され、本作はNiiK(Vo/Noise)、Hirofusa Watanabe(Gt)、Takahiro Watanabe(Ba)、Kou Nakagawa(Dr)の4人編成で制作されました。
Alcestの幻想美やDeafheavenの光に満ちたサウンドとは一線を画したダークな路線が彼らの魅力です。ブラックメタルの狂気をハードコアの推進力でブーストし、荒涼としたメロディを爆発させるサウンドは、闇夜の雪原を疾走する蒸気機関車さながら。
そして本作の最大の特徴は、ボーカリストNiiK氏が操るノイズ。#1“Euphoria”でその真価が早々に発揮されます。まるで脳に直接電極を突き刺され、電流で焼かれるような強烈さで、映画『π』の主人公になった気分が味わえること請け合いです。それに負けじとボーカルは狂気じみたスクリームと、汚物をぶちまけるようなデスボイスを使い分け、「俺が人力ノイズだ!」と言わんばかりに圧倒的な存在感を放っています。さらにノイジーなギターに爆速のブラストビートまで加わって鼓膜がもう大変なことに。ええ、エクストリームミュージック好きには最高のご褒美です!
そんな過激なサウンドに浸っていると、#4 "Almost Transparent Blue"で突如として透明感のあるギターが顔を出し、クリーンボーカルで歌い始めるではないですか。どことなくニューウェイヴやゴスのムードも感じられ、Amesoeursを思い出す聴き心地。しかし「甘い夢は終わりだ」とばかりに再び爆走。雷雲を抜けて天へと駆け昇るようなカタルシスをもたらします。Paleの新境地とも言える楽曲で、アルバム中盤のアクセントになっています。
続く#5 "Dakhme"では、再び狂戦士モードに突入。時速300キロで暴走するブルドーザーのようにすべてをなぎ倒していきます。#6 "Lament"は悲壮なトレモロをかき鳴らしながら徐々にフェードアウトし、ラストの#7 "Shringavera" では、雪原で狂い叫ぶ男の姿が真っ白な吹雪に覆われていき、余韻たっぷりに締めくくられます。起伏ある構成で物語を想起させる手腕もお見事。
大衆化しつつあるポストブラックメタル・シーンに対するカウンターのように、アンダーグラウンドの領域をさらに拡張する形で進化を遂げた意欲作。ポストブラックやブラックゲイズは「ブラックメタル」がルーツであり、闇を孕んだ狂気こそが真髄であると再認識させられます。4月25日からは東南アジアツアーも予定されており、彼らの美学が海外のリスナーにも衝撃を与えることを期待せずにはいられません。


